DREAM ARCHIVE

聞こえた駅名

帰りの電車で、窓の外をぼんやり見ていた。

車内放送から、最寄り駅の名前が聞こえた。

いつものように立ち上がった。

開いたドアからホームへ降りる。

いつものように階段へ向かった。

けれど、あるはずの場所に階段がなかった。

代わりに、少し先まで屋根のないホームが続いている。

そこで初めて、駅名標を見た。

一駅手前だった。

振り返ると、電車はもうホームを離れていた。

聞き間違えたらしい。

次の電車までは少し時間があった。

ここから歩いても、家に着く時刻はそれほど変わらない。

ぼくは階段を上がり、改札を出た。

とりあえず、線路沿いを歩くことにした。

通ったことのない道ではない。

けれど、普段は電車の窓から見ている場所だった。

半分ほど歩いたところで、スマートフォンに通知が届いた。

駅前の宅配ロッカーからだった。

荷物の受け取りが可能になりました

注文していたものを、最寄り駅のロッカーに指定していたことを思い出した。

配送予定は、今日の夜になっていた。

通知の時刻を見る。

いつもの駅で降りていたら、もう駅前を離れていた頃だった。

今はまだ、そこへ向かう途中だった。

そのまま歩いて、いつもの駅へ着いた。

ロッカーを開けると、段ボール箱がひとつ入っていた。

その箱を抱えて、家へ向かう。

駅の入口を離れたところで、ホームから車内放送が聞こえた。

今度は、駅名がいつもどおりに聞こえた。