ご不在
今日は家から出なかった。
休みだったし、天気もはっきりしなかった。洗濯をするほど晴れていないし、出かけるほど雨でもない。
朝食の皿を流しに置いたまま、ぼくは部屋の中でなんとなく過ごした。
本を少し開き、同じ行を何度か読んで、閉じる。
スマートフォンを見て、何を見ていたのか分からないまま伏せる。
昼を過ぎても、部屋の明るさだけがゆっくり変わっていった。
湯を沸かしたのに、カップを出さなかった。
窓を開けようとして、鍵に触れただけでやめた。
夕方、玄関の郵便受けを開けると、不在票が入っていた。
ご不在のため、お荷物を持ち帰りました
時刻の欄を見る。
何も書かれていなかった。
ぼくは一日、部屋にいた。
インターホンの音は思い出せない。
思えば、今日、ほかの音もほとんど覚えていなかった。
しばらくその紙を見てから、再配達の手続きをした。
指定できる一番早い時間は、夜だった。
不在票をテーブルに置く。
インターホンが鳴った。
ぼくは立ち上がった。
玄関まで歩く自分の足音が聞こえた。
ドアを開けると、配達員が伝票を確認して、荷物を差し出した。
ぼくは荷物を受け取った。
「ありがとうございます」
そう言うと、配達員は軽く頭を下げた。
部屋へ戻り、荷物をテーブルに置く。
不在票は、もう見えなかった。