来場待ち
友人とイベント会場で待ち合わせていた。
開場時刻を過ぎても、友人は来なかった。
メッセージを送る。
今どこ?
返事はない。
友人とは、車のアプリで権限を共有していた。
以前、物珍しさから設定したものだ。車の位置を確認したり、目的地を送ったりできる。
地図を開くと、友人の車はまだ自宅にあった。
ぼくは会場を目的地に設定した。
これで車に乗れば、道を調べなくても来られる。
しばらくして、アプリに通知が届いた。
出発しました
ようやく家を出たらしい。
予想到着時刻は、イベント開始の10分後だった。
友人らしいと思った。
入口の近くで待ちながら、地図の上を進む車を見ていた。
信号で止まり、曲がり角を曲がり、少し遠回りしてから会場へ近づいてくる。
やがて、見慣れた車が入口の前に停まった。
運転席には誰もいなかった。
助手席にも、後部座席にもいない。
ドアは閉まったままで、ナビだけが明るく点いている。
目的地に到着しました
ぼくは窓の外から車内をのぞいた。
その時、友人からメッセージが届いた。
車、そっちに行ってない?
ぼくは車の写真を撮って送った。
来てる
少しして、返事が来た。
じゃあ、ぼくも今から行く
車は、もう会場に着いていた。
ぼくはその隣で、友人を待つことにした。